腹腔鏡による副腎・腎臓の手術を受けられる方へ
H18.4.18〜
- 腹腔鏡下副腎摘除術(手術時間2〜4時間程度)
- 腹腔鏡下腎摘除術(3〜4時間程度)
- 腹腔鏡下腎部分切除術(3〜4時間程度)
- 腹腔鏡下腎盂形成術(2〜4時間程度)
(手術時間以外に麻酔、手術の準備等で2時間ほどかかります)
手術方法
- 全身麻酔にて行います。
- 腹部から腹腔内を経由して行う場合(経腹的)と、側腹部から腎・副腎に到達する方法(経後腹膜的)があります。病気の種類、大きさ等の状態から、最適の方法を選択します。
- 腹部または側腹部に直径1〜2cmの操作孔を開け、カメラ(内視鏡)を体内に挿入します。このほかに2〜4ヶ所の操作孔から鉗子やハサミを体内に挿入して手術を行います。
- また、手術中は操作孔から炭酸ガスを体内に送り込んでお腹を膨らませ、手術しやすいようにします。
- 摘出術の際には、摘出臓器の大きさによって、2〜10cm程の傷が必要になります。
- 手術終了時には操作孔のひとつから体内の出血等を体外に排出するための管(ドレーン)を留置し、他の操作孔は縫い合わせます。
- なお、術中に合併症や癒着などにて腹腔鏡では対応できないと判断される場合、通常の開放手術に切り替えることがあります。

術後経過
手術後は点滴、酸素マスク、ドレーン、尿を出す管(フォリイカテーテル)などが付いた状態で帰室します。
帰室先は、病気の種類等により、ICU(集中治療室、新西3階病棟)の場合と、元の病室の場合があります。ICUの入室は、通常1泊のみです。
腹腔鏡手術は、開放手術に比べて術後早期の回復が期待できます。術後はなるべく早期離床をして下さい。通常、手術の翌日から歩行可能です。
経口摂取は、水分は翌日から、食事は翌日〜翌々日に開始できます。
数日後にドレーンを抜きます。約1週間後に抜糸をします。
術後に特殊な検査や補助療法の予定が無く、術後合併症が無い場合には、手術後8〜10日程度で退院が可能です。(副腎腫瘍の手術は、ほとんどの場合、術後内科病棟に移り、ホルモン等の術後検査が必要です)
通常、退院の2〜3週間後に外来受診して頂きます。
合併症(起こりうる望ましくないこと)について
- 腹腔内臓器損傷:
- 副腎・腎臓の周囲には、腸管、血管、肝臓、胆嚢、脾臓、膵臓などの臓器が密接しています。癒着や病変の広がりなどでこれらの臓器を一部損傷することがあります。その場合には適切な処置を(修復縫合、摘出など)を行います。
- 腸閉塞(イレウス):
- 手術後一時的に腸の動きが悪くなり、経口摂取開始が遅れることがあります。ただし、経後腹膜的手術の場合は、ほとんどおきません。
- 出血:
- 出血が多い場合には、輸血を必要とする可能性があります。
- 感染:
- 創部やお腹の中に感染が起こり、高熱が出たり、傷が治りにくい場合があります。その際には、抗生物質(化膿止め)を使用するなどの治療をします。
- 傷の痛み:
- 腹腔鏡の手術でも多少の痛みはあります。痛みが強い時には鎮痛剤等を使用しますのでスタッフにご相談下さい。
- 術後の肩こり、頚部痛、皮下気腫、炭酸ガス血症:
- 手術時に体内に入れる炭酸ガスで頚部痛などが起こることがありますが、数日で改善します。
- その他:
- 予測し得ないことが起こる可能性もありますが、早急に対応します。
教育研究の目的で手術の過程を録画・保存することがあります。
- 死亡率:
- この治療による死亡率は0〜0.5%と報告されています。
説明日 年 月 日
説明医師