麻酔下水圧拡張術を受ける患者様へ
H22.4〜
間質性膀胱炎は膀胱痛、頻尿、尿意切迫感などの症状を伴う疾患です。これらの症状に対して、薬物療法が有効でない場合には、当院では、診断と治療の両方の目的を兼ねて水圧拡張術を施行しております。
平成22年4月より保険適応となり、皆様に安心して水圧拡張術を受けて頂ける環境が整いました。
【 水圧拡張術の方法 】
- 痛みを伴うため麻酔下(一般的には下半身麻酔)に手術室で行われます。
- 滅菌水を恥骨上80cmの高さから自然滴下で膀胱内に注入しながら、膀胱粘膜の所見を膀胱鏡(膀胱の内視鏡)で観察します。
- 点状〜五月雨状〜滝状の出血(次ページ図)、膀胱内のハンナー潰瘍(膀胱上皮の欠損に伴って生じる潰瘍)は間質性膀胱炎に特徴的な所見でこれらが観察された場合ひきつづき治療のための水圧拡張を行います。
- 治療のための水圧拡張は、前述同様に80 cmの高さから膀胱内に滅菌水を注入して3分間の拡張を2回行います。
- 水圧拡張術にかかる時間はおよそ30−40分です。(麻酔にかかる時間を除く)
- ハンナー潰瘍を認めた場合には、内視鏡下に電気凝固を行うことにより疼痛が改善するといわれています。当院では必要な場合には電気凝固を行っています。
- 水圧拡張後に、上皮内癌(1%といわれる)の合併がないことを確認する目的で、膀胱鏡から小さな鉗子を挿入して膀胱粘膜を少量採取(膀胱生検)します。
- 術後は尿道カテーテルを留置しますが、血尿が軽ければ翌日抜去します。血尿が高度の場合には数日カテーテルを留置する場合もあります。
【 合併症 】
- 血尿
- 間質性膀胱炎であれば水圧拡張術によって必ず出血を伴います。通常、血尿は軽く数日でおさまり輸血を必要とすることはほとんどありません。
- 穿孔
- 膀胱に水圧をかける検査・治療のため、膀胱穿孔(膀胱破裂)が起きる可能性があります(報告では1 - 8%)。通常は尿道カテーテルを留置すればおよそ10日で穿孔部は閉鎖しますが、腹腔内と交通した時は下腹部の小切開にて穿孔部を閉鎖する手術が必要になる場合があります。
- 麻酔による合併症
- 腰椎麻酔あるいは全身麻酔を行うので、麻酔に伴う合併症がおきる可能性があります(別紙参照)。
【 有効性 】
最近の疾患概念のため、明確な有効性は提示されていませんが、これまでの報告では、およそ50%の症例で症状の改善を認めるものの、有効期間は平均して6ヶ月程度といわれています。
症状が再度出現した場合、改善が不十分な場合には、保存的な治療法をまず試みますが、重度の症状が見られる場合には再度水圧拡張を行う場合もあります。
当科では、治療の有効性を調べるため、水圧拡張術の前後にアンケートをおこない、間質性膀胱炎の症状スコアと問題スコアをつけていただいております。
ご不明な点は主治医にご相談ください。