前立腺生検術について
H20.4.18~
【はじめに】
- アメリカではすでに10年ほど前から、男性のがんの中で最も高い発生率となっています。
日本でも近年、急激に増えてきています。
- 初期には自覚症状がほとんどありません
- よって、症状が出る前にがんを発見することが非常に大切で、そのためには検診などで定期的にPSA検査を受け、異常があった場合は、前立腺生検術を受けることがもっとも重要です。
【前立腺生検術】

検診や血液検査などで、がんの疑いがある場合に、前立腺の組織を採取し、顕微鏡で確認するために行います。現在、前立腺癌の確定診断のために必須の検査です。
術後の合併症を予防するため、前もって抗生物質を内服していただきます。(既に内服している方は結構です)検査の説明と同時に、必要ならば採血等を行います。
生検は以下のような手順で行います。
- お尻(肛門)から超音波プローブを挿入して前立腺を観察します。
- 痛み止めの局所麻酔をします。
- 超音波で見ながら、前立腺に自動生検針という針を刺し、組織を12箇所程度採取します。
検査終了後、血尿の程度を確認します。
合併症について
- 出血:前立腺および周囲は血流の多い場所であり、また直腸粘膜も比較的太い静脈が走っています。そのために、直腸出血や血尿が見られる場合があります。直腸出血は通常圧迫止血で止まりますが、時には内視鏡による止血を要することもあります。血尿は、通常数日以内に止まりますが、時に2−3週間かかることもあります。稀ですが、出血の程度によっては1泊程度入院していただくことがあります。
- 感染:抗生物質の内服や直腸内への消毒液の使用により、感染予防を行っていますが、それにもかかわらず発熱したり、前立腺が腫れて尿が出にくくなったりすることがあります。特に37℃後半の発熱が生じたら昼夜を問わず緊急連絡を下さい。早急に強力な抗生物質による治療が必要です。もし放置すると、重篤化することがあります。ただし、このような感染例は当科では極めて稀です。
- 痛み:比較的痛みが少ない検査ですが、痛みの強い場合は御申し出ください。
- ショック:稀ですが、主に細菌等が原因となって、いわゆるショック状態になることがあります。体調が悪い場合や合併症がある場合などに起こりやすいが、予測不能です。
気分不快、冷汗、めまい、動悸などの症状があります。この場合は適宜処置を行い、場合によっては入院して頂くことがあります。
- 血精液症:前立腺は精液の一部を産生しています。生検後は数週間、精液に血が混じることがあります。通常、自然に軽快しますので心配要りません。
- その他の合併症:手術は予測が難しい合併症が起こる可能性が、常にあります。この場合には早急に対応します。
- 死亡率:敗血症による死亡例が世界で少なくとも4例以上報告されています。
検査後のことについて
採取した前立腺を顕微鏡で観察し、癌があるかどうかを調べます。
この検査(病理検査)は、結果が出るまで約2~3週間を要しますので、次の外来受診時に結果を説明します。