尿路結石に対する手術を受けられる方へ(内視鏡的手術)

尿路結石とは?

尿の通り路(腎、尿管、膀胱、尿道)にできる石のことです。この石が尿路をふさいで痛みの原因になったり、感染から熱をひきおこす原因になったり、腎の機能を悪くしたりします。そこで、石のある場所や石の大きさにもよりますが、治療により取り除いてやる必要があります。

尿路結石の治療法は?

いずれ排尿の時に一緒に体外に流れ出てしまうことが期待できる小さな石の場合は内服薬で様子を見ますが、それ以外の場合には4つの方法があり、それぞれ

  1. 体外衝撃波結石破砕
  2. 経尿道的(膀胱、尿管)結石摘出
  3. 経皮的(腎、尿管)結石砕石
  4. 切石術

といいます。

この内、最後の切石術とは昔からある開腹手術のことで、現在この方法を必要とする場合は非常に稀で、残りの3つが主な治療法です。

はじめの、体外衝撃波結石破砕は最も手軽にできる方法で、麻酔なしに外来でも行えるという利点がありますが、逆に、硬い成分でできている石は割れない可能性がある、大きな石は何回もの治療を要することがある、石のある場所によっては行えない、患者さんの他の病気の理由で行えない、などの欠点もあります。

最終的には相談させて頂いた上で、どの治療法が最もあなたに適しているかを決めます。

経尿道的結石摘出術について

1)どんな石に適しているか?

尿道、膀胱、尿管にある石に適しています。

2)手術方法

【麻酔】
下半身麻酔の場合や全身麻酔の場合があります。詳しくは主治医や麻酔科の先生の説明をおきき下さい。
【手術時間】
30分〜3時間と様々です。
【方法】
尿道から石のある場所まで内視鏡(カメラ)を挿入し、水を流して石を見ながらレーザーやその他の破砕装置を使って石を割り、破砕片を体外に取り出します。
手術が終わったら尿道にくだを入れます。場合によっては、腎から膀胱までの間、つまり尿管の中にもくだを入れます。

3)術後経過

【点滴】
通常半日〜1日で抜けます。
【尿道のくだ】
通常翌日か2日後に抜けます。
【安静度】
当日はベッド上安静が必要ですが、翌日からは歩行可能です。
【食事】
麻酔の種類によって若干ことなりますが、翌日〜2日後には食事を再開します。
【尿管のくだ】
通常4〜7日後に抜けます。
【よくおこる気になること】
発熱や痛み、膀胱刺激症状(常に尿意のある感じ)はときにありますが、たいてい数日で止まります。症状の強い時は薬でおさえるようにします。血尿も数日で止まることが多いですが、尿管にくだが入っている間は続きます。また、尿管にくだが入っている場合は排尿時に腰が痛くなることがあります。
【退院】
通常1週間以内、または1週間前後で退院できます。

4)合併症(起こりうる望ましくないこと)

【手術の中断】
内視鏡の手術は限られた狭い術野で行われるため、出血した場合や解剖学的に石が見えにくい場合などには、無理をしないで手術を中止して、後日改めて行うか他の手術に変更する場合があります。安全第一に手術を行うための処置ですのでなにとぞ御了承願います。
【出血】
この手術で輸血が必要なほど出血することはめったにありませんが、可能性がゼロではありません。
【感染】
手術の後に腎盂腎炎、精巣上体炎、前立腺炎などをおこして高熱が出る場合があります。抗生剤を用いるなどして適切に対応させていただきます。
【尿道,尿管狭窄】
手術をしてしばらくしてから尿道が狭くなり尿が出にくくなることや、尿管が狭くなり腎が腫れて痛みのおこることがあり、何らかの処置が必要になることがあります。尿管狭窄を起こす可能性が高い場合には前もって,尿管内に留置するくだを長めに入れておくことがあります。
【尿管穿孔】
手術中の操作で尿管に穴があくことがあります。尿管内に留置するくだを少し長めにおくことで治ることがほとんどです。
【尿管断裂】
極稀に尿管がちぎれることがあります。緊急で開腹手術を必要とします。
【隣接臓器の損傷】
極稀に尿管周囲の臓器(大血管,腸管など)を損傷することがあります。緊急で開腹手術を必要とします。
【その他】
予想しない問題やあなたの他の病気に関連したあなた独自の問題が起こることがあります。すばやく原因をつきとめ最善の対応を行います。

経皮的結石砕石術について


1)どんな石に適しているか?

腎、腎に近い部分の尿管にある大きな,または多数の石に適しています。

2)手術方法

【麻酔】
通常全身麻酔です。
【手術時間】
通常2〜3時間ですが更に時間のかかる場合もあります。
【方法】
背中から腎に向けて内視鏡(カメラ)の通り路をつくり、そこに内視鏡を挿入して水を流して石を見ながらレーザーやその他の破砕装置を使って石を割り、破砕片を体外に取り出します。石のある場所などにより、通り路を2本つくることや、どうしても1回の手術で石をとりきれない場合があります。
手術が終わったら内視鏡の通り路と尿道にくだを入れます。

3)術後経過

【点滴】
通常1日〜3日で抜けます。
【尿道のくだ】
通常翌日か2日後に抜けます。
【安静度】
翌日からは歩行可能です。
【食事】
通常翌日〜2日後には食事を再開します。
【通り路のくだ】
4〜7日後に抜けることが多いですが、結石が完全にとりきれなかった場合には後日その通り路を使って石を採りにいくことがあります。くだを抜いたあとの穴は1〜2日でふさがります。それまでの間、多少尿が背中から出ます。
【よくおこる気になること】
発熱や痛みはときにありますが、たいてい数日で止まります。症状の強い時は薬でおさえるようにします。血尿も数日で止まることが多いです。通り路のくだの周囲から尿がもれることがありますが特に問題ありません。
【退院】
通常1週間以内、または1週間前後で退院できます。

4)合併症(起こりうる望ましくないこと)

【手術の中断】
内視鏡の手術は限られた狭い術野で行われるため、出血した場合や解剖学的に石が見えにくい場合などには、無理をしないで手術を中止して、後日改めて行うか他の手術に変更する場合があります。安全第一に手術を行うための処置ですのでなにとぞ御了承願います。
【出血、術後出血】
出血が強く、輸血を必要とする場合や、途中で手術を中止しなければならないことがあります。手術が終了した後に出血が続くこともあります。適宜対処致します。
【腎盂腎炎、敗血症】
術後高い熱が続くことがあります。抗生物質などの薬を長期投与する必要があるかもしれません。
【腎盂、尿管の損傷】
稀に腎盂や尿管に穴があくことがあります。小さい時は経過観察のみで問題ありませんが、大きい時は手術を中止しなければならないことがあります。術後しばらくして尿管が狭くなり、何らかの処置が必要となることがあります。前もって尿管狭窄になることが予想できる場合は尿管の中にくだを入れることもあります。
【隣接臓器の損傷】
極稀に尿管周囲の臓器を損傷することがあります。緊急で開腹手術を必要とします。
【その他】
予想しない問題やあなたの他の病気に関連したあなた独自の問題が起こることがあります。すばやく原因をつきとめ最善の対応を行います。
【手術に関連した死亡について】
結石の内視鏡的な治療は、近年その技術も飛躍的に向上し安全性も高まってきていますが、不幸にして手術に関連して死亡する確率もゼロではありません。経皮的結石砕石術の手術死亡率は、文献的には0.3%から0.78%(およそ200例から300例に1例)と言われています。

付き添いについて

どちらの手術でも、手術中は万一の場合に備えて、どなたか付き添って頂く必要があります。手術後は原則として必要ありませんが、手術の大きさによってはしばらくの間付き添いをお願いさせて頂くこともあります。

その他

教育研究の目的で手術の過程を録画・保存することがあります。

以上ですが、その他疑問な点、はっきりしない点等ありましたら、直接主治医に御相談ください。

2006.12月改訂

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