経尿道的前立腺切除術(TUR-P)をうけられる方へ

H18.4.18〜

約50年以上の歴史のある、標準的な手術法です。

術中出血や射精障害などの合併症の可能性がありますが、開放手術に比べると少ない侵襲で治療ができます。

手術手技について

通常腰椎麻酔下に行われます。内視鏡を挿入し、高周波電流で前立腺を削り取る手術です。灌流液で術野を洗浄しながら手術を行います。手術時間は1時間から2時間です。

術後経過について

点滴:
術前より点滴が入ります。術後半日点滴が続いた後抜針します。
尿道カテーテル:
術後よりおしっこを体外に排出するカテーテルが入ります。灌流を行い膀胱内を洗います。術後数日で血尿がおさまっていれば抜去します。
安静度:
術後1晩はベッド上安静です。翌日より安静解除されます。
食事:
手術翌日より通常通りの食事で結構です。
退院:
カテーテルが抜けて排尿可能であれば退院可能です。通常術後3から5日で退院していただけます。 削った組織の中に前立腺癌が隠れていないか調べますが、この結果は外来を受診したときに御説明いたします。

手術に伴う合併症の可能性について

1) 被膜穿孔
前立腺被膜を削ってしまうことです。出血や水中毒を生じるため手術を早く終了します。
2) TUR症候群(水中毒)
灌流液が血管内に流入して血液が希釈され起こります。血圧低下、吐き気、嘔吐、意識低下などが生じます。利尿剤などで適切な処置を行います。
3) 血尿
術後軽度の血尿がみられます。程度が強い場合には手術室で止血を行わなければならないこともあります。
4) 後出血
術後10日から2か月くらいの間に突然血尿が生じることがあります。これはかさぶたがとれて出血したものですが、すぐ来院して下さい。
5) 尿路感染症、精巣上体炎
抗生剤の術中よりの予防投与を行い対処します。
6) 尿失禁
尿道括約筋を損傷した場合やもともと膀胱尿道機能障害がある場合に起こることがあります。
7) 逆行性射精
射精の際、精液が膀胱内に流入してしまうことです。射精される精液量が減ってしまいますが健康上問題はありません。
8) 尿道狭窄
手術中の尿道への機械的刺激や炎症により生じることがあります。尿道の拡張処置を行わなければならないことがあります。
9) 前立腺肥大症の再発
5から15%くらいの割合で生じます。
10) その他
予測し得ないことがもし生じた場合には早急に対応を致します。 教育研究の目的で手術の過程を録画・保存することがあります。
11) 死亡率
この治療による死亡率は0〜0.5%、80歳以上の方は0〜6.4%と報告されています。
平成   年   月   日   主治医  
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