平成26年1月28日改訂
東北大学病院泌尿器科
東北大学病院放射線治療科
転移のない前立腺癌に対しては手術(全摘術)と並んで、放射線療法もほぼ同等の治療効果が得られることから広く施行されています。全国的には一般に3次元原体照射法(3D-CRT)による70 Gy前後の線量で治療が行われていますが、線量を増加させるほど癌の再発率が低くなることは米国の成績で明らかになっています。従来は線量を増やすと下痢や排尿困難などの副作用も強まるとされていました。しかし、東北大学病院で行っている強度変調放射線療法を用いると、線量を増加させ、かつ副作用も軽減するという二重のメリットを得ることが出来ます。予め金マーカーという目印を前立腺内に入れておき、精密な治療プランを個々に作成、このマーカーをガイドに照射するため、膀胱内の尿や直腸内のガスの影響を受けずに目的とする前立腺と精嚢にのみ集中的に高線量を照射出来るのです。
東北大学病院泌尿器科では放射線治療科と共同で、比較的高リスクの前立腺癌に対し積極的にこの強度変調放射線療法に取り組んで来ました。東北大学病院での照射線量は80 Gyと国内最高ですが、目立った副作用は大変少なく、仙台市近隣の患者様は外来通院のみでも治療が可能です。本治療法は保険適用です。この強度変調放射線療法を希望される方は、紹介状、レントゲン写真と組織検査時のプレパラート(ガラス標本)を持参の上、当科外来を受診して下さい。
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東北大学病院のIMRT装置 | IMRTの照射プラン(5門固定照射) |
注 Gy(グレイ):放射線をかける量の単位