研究機関:University of California, Los Angeles. Division of Cancer prevention & Control Research
研究期間:2006年10月〜
10月からロサンゼルスに来て早くも2ヶ月がたちました。こちらの生活にも慣れてきたところでその様子について報告させていただきます。
ロサンゼルスといえば綺麗な青い海と空。そこでローラーブレードをするブロンドのアメリカ人。HOLLYWOOD。ビーチ側に住む高級住宅街。でも実際に暮らしてみて・・・実は全然違う!!全然違うわけではないけど、それはほんの一部でしかないと感じました。こんな綺麗な通りは、ロサンゼルスの中でもごく一部。アメリカは2%の富裕者が50%以上の富を握る国。現実は低所得の国民がめちゃくちゃ多いことに気づかされました。そのためかアメリカ人の日常生活はかなり地味です。
アメリカは日本に比べて物価が安いと考えがちですが、地域によって生活費や人々の生活水準にはかなり差があります。その差は日本以上です。特に住居費には天と地の差があります。僕は特に先輩などもいなかったので、現地に到着してからアパート探しをしました。現地の不動産の人の話によると現在カリフォルニアの住宅所有率は全米で2番目に低く(約50%)、住宅の価格も前年比で17%の上昇とバブル状態なんだそうです。その影響でアパート代も決して安くなくUCLA周辺だと1BED(日本でいう1LDK)で$1300-2000が相場でした(もちろん日本よりは広いですけど)。食費も外食に関してはチップを考えたりするとむしろ日本のほうが安いかもしれません。こちらの生活も楽じゃありません。これまで一度も料理をしたことのなかった自分も今は自炊生活をしています。
ロサンゼルスの治安ですが、僕が日本で思っていた程には悪くはないな〜ってのが実際です。特にUCLAのあるWest Woodというところは当然学生がたくさんいて週末ともなると夜中までにぎわっていて一人で歩いていてもあまり怖くなさそうです。ただし、当然のことながら「ジャングル」な状態の場所はありますが。ロサンゼルス辺りで生活するのならば、基本的に危険そうなところには行かないっていうのが基本だろうと思います。有名どころではコンプトンやその周辺、オレンジカウンティだとサンタ・アナのダウンタウンとか。そんな訳で、僕自身わざわざ危険な地域には行かないし、基本的に興味もないので詳しいかって聞かれるとそうでもありません。
現在生徒数は約3万8千人いて英語だけでなく様々な言語が飛び交っています。図書館や各学部の研究室などの建物が新旧130棟あり、広大な敷地に点在しています。UCLAの正門を入ってすぐ目に付くのはUCLAの生協(Ackerman Union)。生協といっても、日本の大学生協みたいな貧乏くさくて、ちゃっちーのとは大違いです!とにかく品揃えが豊富で、店内は広くて、綺麗で、デパートみたいです。『地球の歩き方』なとのガイドブックにも紹介されているほどです。衣料品、文房具、お菓子、書籍など、様々な品々で溢れ返っていました。さすが世界的に有名なUCLAだけあって、ロゴ入りティーシャツだけでも数十種類おいてあります。ちなみに手術着(scrubといいます)も$12で販売していました(ロゴ無しなので普通の人がみたら何だか分からないと思うのですが)。
研究室といっても研究所はいくつかのグループがあり、一人の教授のもとそれぞれの研究プロジェクトごとにわかれており、それぞれプロジェクトリーダーを擁する小規模な研究グループの集まりという感じでした。研究室にはMDのほかにM.P.H、大学院生などさまざまな人がいます。他の留学の先生と違う点は僕のいる研究室には誰も日本人がいません。だから英語とスペイン語が飛び交っていますが日本語は通じません。聞けば親切に答えてくれますが、コミュニケーションは大変でなかなか進まないのが本音でしょうか。
ここのボスはMark Litwinという泌尿器科分野のQOLを含めたoutcome(アウトカム)研究では第一人者である人です。僕のAUAの発表のときに座長をしていただいた先生です。Dr. Litwinは泌尿器科医でもありMaster of Public Healthでもある人です。したがって研究もやっていますが、(手術や回診など)臨床も忙しそうにやっていて、先日は自分とのディスカッションの途中で病棟からemergencyのcallがあり、”I’ll be back in a few minutes.”と言ってしばらく戻ってこないこともありました。
また研究室のM.D.に泌尿器科医もいて彼はとても親切にしてくれます。彼も日本の“トランク”のように関連病院での診療と掛け持ちで研究していて忙しいと言っています。主なスケジュールは月1回当番になっている人がプレゼンテーションし、質疑応答する研究検討会があります。泌尿器科の分野では毎週1回Grand Roundsというmeetingがあります。そこではレジデントが珍しい症例や診断困難だった症例、また最近のトピックスについてpower pointでプレゼンテーションします。
また他大学から先生を招聘してup to dateな話題の講演が予定されているなどと盛りだくさんの内容になっています。レジデントの先生は病棟の仕事以外に抄読会も月1会でありその準備など日米問わず多忙な生活を送っているようです。自分はと言えばGrand Roundsの他に研究以外時間のある時は手術場に行ってラパロの見学をしたりして自分が泌尿器科医であることを思い出しています。
日本を離れて2ヶ月。そろそろ日本食が恋しいなあ〜。これは全く問題ありませんでした。さすがロス。種類にこだわらなければ手に入らないものはないといってもいいです。日本人の街といえばリトル・トーキョーを思い浮かべますが、今は観光地化してしまい現地の日本人はあまり行かないようです。また各地に日系スーパーは結構あって日本酒だけでなく焼酎もあり、日本と間違ってしまうような感じです。レンタルビデオ屋に行けば先週日本で放送していたテレビ番組も貸し出しされています。ロサンゼルスを南に30分ほど行くと,コンプトン(Compton)という,麻薬や撃ち合いが日常茶飯事でよく人が殺される,非常に治安の悪い地域がありますが,その西側に位置するガーデナ(Gardena)という地域は古くから日系人の居住地もあり、多くの日系人が住んでいます.日産やシャープ等,日系企業も古くから入っています.日系の店やレストランもたくさんあり(居酒屋、ラーメン屋、焼肉など),僕も週末によく買い物に行きます。
グリフィス天文台 - Griffith Observatory夜景の名所、グリフィスパーク天文台が4年のリノベーションをへて11月にリオープンされました。現州知事のシュワルツネッガーが映画ターミネ―ター(オリジナル)で丸裸で現れたのもこの天文台です。建物の中は博物館になっていて宇宙に関する 展示やプラネタリウムがあり、天気の良い日の夜には30cmの反射望遠鏡で星や月をのぞかせてもらえます。 空気の澄んだ日にはかなり遠くの街まで見下ろすことが出来き、運が良ければLAXまでも見渡す事が出来るらしいです。綺麗な景色の好きな人なら長時間いても楽しい場所ではないでしょうか。
アメリカといえばスポーツ観戦です。これまで国際学会といえばMLB観戦を欠かさなかったのですが、季節柄、野球はオフシーズンです。そこで今回はアメリカの4大スポーツ(MLB, NBA, NHL, NFL)のうち1つであるNBA(バスケットボール)をステイプルセンターで観戦しました。ロサンゼルスにはNBAは3年連続チャンピオンの輝いたことのあるレイカーズと日本人初NBAプレーヤーとなった田伏勇太選手が契約したことのあるクリッパーズの2チームがあります。
このステイプルセンターはダウンタウンの南西に位置し2000年完成した巨大多目的施設です。施設は新しいので申し分がなく、とても清潔で、この地域だけはダウンタウンとは大違い。そして、このステイプルセンターには“TEAM LA”というここを本拠地としてもつチーム(レイカーズ、クリッパーズ。NHLのキングス)のオフィシャルショップがあり、試合がない日はグッズを購入できます。
ショップ以外にはFOX BARというスポーツバーがあり、店内にはいくつものモニターからスポーツ中継が流れていて、試合が始まるまで(試合中も?)腹ごしらえをして飲んで盛り上がっていました。試合がはじまる10分前にレギュラーメンバーの登場。もちろん相手チームには大きなブーイング。身長は2mを超えている選手が多いので、テレビで見ていると大きく見えるコートもとても小さく見えます。
ウォームアップが終わり場内が暗くなり地元チームの先発メンバーが紹介されます。そして、全員立ち上がってのアメリカ国家の斉唱。そして、試合開始。タイムアウトがあるとチアガールズが登場します。みんなとても華麗で、プロフェッショナルなダンスで場内を盛り上げます。ファンの中には一緒に踊るお子さんやおじさん(?)がいて、中央の大きなモニターに映し出されると大歓声があがっていました。やはり、テレビで味わえない感動、興奮があります。満席のアリーナの歓声はとても凄い。その中で自分も観て、いつのまにかクリッパーズのファンになっていました。
これは研究の合間のお話です。
LAは、昔砂漠だったせいか、冬でも日中は暑いが、朝晩はぐっと冷えます。冬の1日の気温の差が20、30度くらい(華氏で)あることもざらです。でも雨も降らないし、やっぱりすごしやすい気候でありついつい外の空気を吸いたくなります。