並木 俊一

早いものでこちらに留学してから10ヶ月が経過しました。アメリカでの生活や文化にも慣れたところです。UCLAでの毎日は日本での生活と異なり臨床にはタッチしていませんがDepartment of Urologyに所属しているのでconferenceや研究会に時間を見つけて参加しています。それらについて簡単に紹介してみようと思います。

UCLA Medical Centerはご存知のとおり全米を代表する病院で今年も5,462あるmedical centerの中で西部地区で第1位、全米でも第3位の評価を得たそうです(ちなみに1位はJohns Hopkins Hospital, Baltimore 、2位はMayo Clinic, Rochesterでした)。泌尿器科は診療科の中でも人気があるようでUCLAでは毎年4人のresidentを受け入れていますが競争は厳しいようです。医学部を卒業後2年間の内科、外科、麻酔科を含む研修トレーニングが行われます。しかしこのトレーニングは日本のようにすべてが必修ではなく、泌尿器科に進むことが決まっていればそれに関連する科を重点的にまわれることが可能です。その後3−4年間のレジデント期間を終え、その後の進路を選択していきます。給料は1年目(インターン)が$30,000、それ以降は$40,000-50,000くらいで病院によるちがいはあまり無いとあるresidentは言っていました。

毎週木曜日の夕方にはGrand Roundsなるカンファレンスがあるのですが、院内に限らず、院外からも講演者を呼んでいます。またUCLA Medical Centerのみならず周りの関連病院のresidentも集まり(彼らはこれらの病院を定期的にローテーションしています)指導医の臨床知識のup dateも目的としています。講義内容が臨床医の求めているものであることは重要であると思いますし、院外からも優れた臨床医を講演に呼ぶ、呼べるということも大切だと思います。この場でレジデントは興味深い症例や鑑別困難であった症例についてpresentationします。日本のカンファレンスはややもすると発表者は症例の検査結果および画像所見のみを発表し、治療方針については周囲(上司)の先生の意見を伺う場所となりますが、こちらでは症例呈示者が患者やケースに関してほとんど全て知っているべきとされ、治療方針についてはすでに決定されています。だから先生達にその疾患についてレクチャーするという感じです。このように日常診療においても学会発表を意識した訓練が行われており、アメリカの医療と医学教育システムの違いを学ぶことができます。

学会は日本ほど頻繁ではありませんが、先日自分が参加したものはUCLAが主催の学会でした。大学だけでなく開業の先生方も多く参加されていました。こちらの学会は(AUAもそうですが)早朝から行われこの学会も午前7時開始で飲み物の他に軽食も用意されていました。昼食はレストランで食事をして夕方4時過ぎに終了、その後にはreception partyも設けられていました。UCLAにおける臨床成績の発表や疾患別のup dateな講演と臨床から離れている自分としては大変勉強になりましたが、やはりすべて英語なのでぐったりです。Reception partyには他のアジアから留学している泌尿器科医も参加しておりその中には東京の国立がんセンターでも勉強していた先生もいて交流を深めました(お互い片言英語でしたが)。 残り短くなってきましたが、ここでの留学生活を有意義に楽しみたいと思っております。

 
泌尿器科外来の廊下です。廊下には写真があり「Great American Urologist of the 20th Century」と題して歴代の著名なurologistの写真が飾られています。外来は地下にあり日もささないので余計威厳を感じさせます。   UCLAには様々な施設がありますがこのUCLA Robotic Surgery Centerはpermissionをとればいつでも器械を操作して練習することができます(自分もさせてもらいました)。ちなみに器械はdonationだそうです。

 

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