東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

東北大学病院 泌尿器科 前立腺 尿失禁 人工尿道括約筋 人工括約筋

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受賞

東北大学病院泌尿器科 中川晴夫

東北大学病院臨床応用研究推進プログラムに採択されて

「ニューロバイオニクスを利用した下部尿路障害の新たな診断法と治療法の確立」

ニューロバイオニクスという言葉は、何らかの方法により生体に刺激を加え、神経系による制御を正常に近づける技術を総称した言葉であり、近年この手法による治療が脚光を浴びています。私たちはこれまで運動機能再建学講座の半田康延教授と協同で仙骨表面の治療的電気刺激療法の確立と刺激装置の開発を行い、昨年刺激装置の厚生労働省の認可を取得し発売されました。この治療法は薬物療法に抵抗性の難治性の排尿障害に対して自覚的に60%以上、他覚的に80%程度の有効率を示し、腹圧性尿失禁や慢性骨盤内疼痛症候群などにも効果をみとめます。しかも、家庭での治療が可能で、これまでのところ明らかな副作用を認めない画期的な治療法です。

この治療法の作用機序は、動物実験で脊髄内での疼痛を知覚するCファイバーの興奮抑制効果が示されているのみで、本来どのような作用機序で効果を示すか、どのような症例に効果が高いか、などについては世界的に見ても未知数の分野です。今回の研究では、これらの点を明らかにするために、ニューロバイオニクスにおける刺激が、神経系に対してどのような影響を与えているか、その影響が対象臓器である膀胱や尿道、直腸、子宮といった骨盤内臓器に対してどのような変化をもたらすのかという2点について明らかにすることを目的としています。作用機序をあきらかにする過程で、疾患自体の原因のよくわかっていない慢性骨盤内疼痛症候群などの病態を明らかにすることも可能ではないかと考えており、東北大学を中心に病態に応じたテーラーメード治療法の確立を開発し世界に発信できたらと考えています。


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