本論文は第243回日本泌尿器科学会東北地方会に「下大静脈腫瘍塞栓の遊離による肺塞栓に対し、観血的治療を行い救命し得た腎細胞癌の2例」として報告した内容をIJUに投稿したものです。腫瘍塞栓が自然遊離して起こる症候性急性肺塞栓症は稀であり、これに対して観血的治療を行い救命した症例は調べた限り本症例を含め13例のみでありました。当院では1984年から70例以上の腫瘍塞栓と伴う腎癌の手術をしていますが、今回腫瘍塞栓遊離による肺塞栓を発症し、救命した腎細胞癌の2例を経験したので報告しました。本症例を含め、報告された13例で腫瘍塞栓を体外循環下に摘出し良好な短期成績を得ております。重症例では、できるだけ早く腫瘍塞栓を摘出することが予後の改善につながると考えられました。またこのような症例は日常経験することが少ないため、他科とすみやかに連携し、診断治療にあたる事が重要なポイントだと思いました。最後になりましたが、論文作成にあたりご指導いただきました、齋藤英郎先生、齋木佳克教授、荒井陽一教授にお礼を申し上げます。
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