東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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卒後初期研修について

卒後臨床研修に泌尿器科ダイレクトコース新設!

東北大学病院では卒後臨床研修プログラムに「専門科(泌尿器科)ダイレクトコース」が新設されました。

通常のスーパーローテート自由枠選科目の臨床研修(6-8ヶ月間)を最初におこない、その後に内科、外科、麻酔科、などの必修科目を研修するものです。

泌尿器科ダイレクトコースには多くのメリットがあります

  1. 泌尿器科に興味がある、泌尿器科を専攻したい、と考えている場合、早い時期にスタートラインについて臨床、研究が開始できます。
  2. 他科にローテート中も、問題意識を持って研修を受けることができます。(例、産科研修時に「妊婦の尿路結石はどのように対処するか?」などの問題意識が生まれ、より深い学習ができます)
  3. 初期研修期間の2年間、ダイレクトコースの選択科(泌尿器科)がホスト診療科となります。ホスト診療科の経験豊かな指導医が、その後の各科ローテートの希望、進路相談、など親身になってアドバイスします。
  4. 大学病院における高度で先進的な診療に、スタッフの一員として参加することにより、スタートから密度の高い研修が受けられます。
  5. カンファレンス、抄読会、講演会、学会出席・発表、など豊富な学習の機会に恵まれています。これらの経験はその後の臨床・研究の高いモチベーションを生むことでしょう。
スーパーローテート基本プログラム(例)
1年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
内科 外科(麻酔、救急含む)
2年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
産婦 小児 精神 地域 自由選択
泌尿器科ダイレクトコースプログラム(例)
1年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
泌尿器科 産婦 小児 精神 地域
2年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
内科 外科(麻酔、救急含む)

※なお、臨床研修後の進路はあくまでも本人の自由意志で決めて頂きます。ダイレクトコースを選択した診療科(泌尿器科)に拘束されることはありません。

初期研修期間における泌尿器科臨床研修カリキュラム

(6-8ヶ月の研修期間における到達目標)

I基本手技

<一般目標>

泌尿器疾患の正確な診断と適切な治療を行うためにその基本的手技を修得する。

<行動目標>

  1. 各種症状・徴候について理解し、適切な問診ができる。
    疼痛発作、排尿の異常(排尿痛、頻尿、排尿困難、尿失禁、尿意切迫、尿閉など)、尿量の異常(多尿、乏尿、無尿)、尿性状の異常(血尿、膿尿、混濁尿など)、腫瘤(腹部、陰嚢部)、男性不妊、性機能の異常、尿路性器外傷
  2. 基本的診察法に習熟する。
    腎腹部の診察、男性外陰部の診察、女性外陰部の診察、直腸診など
  3. 指導医の下で基本的検査法を行い、所見を述べることができる。
    超音波検査、尿路内視鏡検査、ウロダイナミクス、神経学的検査、前立腺生検、画像検査(CT, MRI, 尿路造影検査)、など
  4. 輸液管理を行える。酸塩基平衡について理解できる。
    水・電解質バランスの管理ができる。動脈血ガス分析の結果を理解し、適切に対処できる。
II処置・指導

<一般目標>

泌尿器疾患の主にプライマリケアに必要な基本的診療能力を修得する。

<行動目標>

  1. 導尿、各種カテーテル管理(尿道、腎瘻、尿管、膀胱瘻)
    1. 導尿が安全にできる(マンドリン使用下を含む)。
    2. 自己導尿の意義を理解し、指導できる。
    3. 尿閉の処置が安全にできる(恥骨上穿刺を含む)。
    4. 尿道留置カテーテルの適切な管理ができる。
    5. 尿路変向後のストーマ、カテーテル管理ができる。
  2. 救急疾患の診断・処置
    1. 急性尿閉、慢性尿閉の病態の違いを理解し、安全に処置、管理(輸液の必要性の有無を含む)ができる。
    2. 腰背部疼痛発作の適切な診断(鑑別診断を含む)・処置ができる。
    3. 上部尿路閉塞による腎後性腎不全の診断、処置(腎瘻造設術・輸液管理を含む)ができる。
    4. 急性陰嚢症の病態を理解し、指導医の下で適切に対処できる。
  3. 手術
    1. 指導医の下で陰嚢内容の手術ができる(去勢術、高位精巣摘出術など)。
    2. 指導医の下で腎瘻造設術ができる。
    3. 一人で超音波ガイド下前立腺生検ができる。
  4. 指導
    1. 腎不全・透析患者に対する食事指導ができる。
III疾患の理解

<一般目標>

代表的な泌尿器疾患の病態について概略を習得し、その重要性と特殊性を理解する。

<以下の代表的疾患についてその病態の概略を理解する。>

  1. 炎症性疾患
    腎・腎盂:腎膿瘍、膿腎症、急性腎盂腎炎
    膀胱:単純性および複雑性膀胱炎、間質性膀胱炎、放射線膀胱炎、出血性膀胱炎
    前立腺:急性前立腺炎、慢性前立腺炎
    精巣・精巣上体:精巣炎、精巣上体炎
  2. 尿路結石症(上部尿路結石、膀胱結石)
  3. 腫瘍性疾患(腎細胞癌、尿路上皮癌、前立腺癌、精巣癌)
  4. 副腎腫瘍(原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫)
  5. 上部尿路閉塞性疾患(先天性水腎症、結石、尿路腫瘍、尿路外腫瘍、後腹膜線維症)
  6. 下部尿路機能障害(神経因性膀胱、過活動膀胱、低活動膀胱、間質性膀胱炎)
  7. 下部尿路閉塞性疾患(前立腺肥大症、尿道狭窄、神経因性膀胱)
  8. 性行為感染症(淋疾、クラミジア感染症)
  9. 先天異常(停留精巣、精巣水瘤、包茎、膀胱尿管逆流症、嚢胞腎、尿道下裂、など)
  10. 尿路性器外傷(腎外傷、膀胱外傷、尿道外傷、陰茎折症)
  11. 急性腎不全(腎前性、腎性、腎後性)、慢性腎不全とそれらの原因
  12. 男子性機能障害、男子不妊症
  13. 陰茎の疾患(尿道下裂、陰茎癌、ペロニー氏病、持続勃起症など)
IV医療記録

<一般目標>

泌尿器疾患に対して理解を深め、必要事項を医療記録に正確に記載できる能力を習得する。

<行動目標>

  1. 代表的疾患について正確に病歴が記載できる。
  2. 代表的疾患について身体所見が記載できる。
  3. 画像、内視鏡などの検査結果の記載ができる。
  4. 症状・経過の記載ができる。
  5. 手術所見の記載ができる。
  6. 検査・治療行為に関するインフォームドコンセントの内容を記載できる。
  7. 紹介状、依頼状を適切に書くことができる。
  8. 診断書の種類と内容を理解できる。


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