東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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帰国報告

斎藤 英郎

糖鎖およびアポトーシスで有名な米国カリフォルニア州ラホヤ市にあるBurnham Institute for medical researchでの2年3ヶ月の留学生活を終え帰国しました。

最初はほとんどが日本人研究者のみのラボでしたが、帰国の頃には日本人4人、中国人2人、韓国人2人、そしてカリフォルニア大学の学生2人と、文化の異なる研究者と時間をともに過ごすことが出来ました。英語やアメリカ・韓国・中国の文化など色々なものを教わり、楽しく充実した生活でした。

研究はというと、前回の報告で述べましたように、非常に多種多様な役割があると考えられていますがまだ生物学的解析が進んでいないヘパラン硫酸について行っていました。この合成に必須なものが無い状態では胎児死になってしまうためノックアウトマウスを用いることができず、誘導型のconditionalなマウスシステムを作るというものです。トランスジェニックマウスは生まれたのですが残念ながら時間がなく解析を進めることが出来ませんでした。今回私たちが着目したものを培養細胞でみてみると、腫瘍の増殖が抑制されるというデーターもあり、特に血管新生に関わる腎細胞癌や膀胱癌での臨床応用も将来可能になるのではと期待し、今後の解析を待っているところです。

また、当研究室で作成したノックアウトマウスを用いた長年にわたる解析にて、この度、”Novel roles of N-glycan-based L-selectin ligands in lymphocyte homing and recruitment”という論文がNature Immunologyに掲載されることになりました。循環血液中にあるリンパ球がリンパ節に取り込まれるホーミングという機序の今までの常識を変える論文です。幸いにも私も主にマウスのリンパ節の解析をお手伝いし名前を入れてもらうことが出来ました。世界のトップを行く研究に関わることが出来、非常に貴重な経験になりました。

このような有意義な留学生活を送ることが出来たのも、ひとえに、この研究室を紹介して頂いた荒井教授、色々な面で支えて頂いた東北大学泌尿器科医局の先生方のおかげと感謝しております。この場をかりて感謝したいと思います、誠にありがとうございました。

これから医者になろうとしている学生さん、また若い先生方、自分から動けば貴重な体験ができますので、留学を今後の人生プランの中に是非入れてみてはいかがでしょうか。


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