東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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こんな症状ありませんか?

「PSAが高い」と言われた

わが国でも前立腺がんの罹患率が増加していることから、最近マスコミや健康番組でも取り上げられる機会が増えています。血液検査でPSAがスクリーニングできるという簡便さから前立腺がん検診を推進する自治体も増え、開業医などでも検査されることが多くなってきました。「PSAが高い」と言われたらどうしたらよいのでしょうか?

PSAとは?

「ピー・エス・エー(PSA)」は前立腺特異抗原(prostate specific antigen)の英語の頭文字からとった略語です。男性だけにある前立腺という生殖器官でのみ産生されるたんぱく質です。精液の中に混じって精液をさらさらにする作用があると言われています。

PSAは、本来は精液として体外に分泌されるものですが、その一部は血液中にも存在します。前立腺のがんや炎症などで血液中のPSA値が高くなることがわかっています。

どんな時にPSAは高くなるの?

PSAは「前立腺特異的」ではありますが「前立腺がん特異的」ではないことを理解しておくことが大切です。PSAは前立腺癌ではほとんどの場合上昇します。しかし、前立腺肥大症、前立腺炎、尿道にカテーテルなどが入った状態(物理的な刺激)、尿閉(尿が全くでない)、などのの場合にもPSA値は上昇することがあります。射精によっても少し影響を受けることがあります。

その他にホルモン製剤など薬物の影響でPSA値が変化することもあります。ですから「PSAが高い=前立腺がん」というわけではありません。ただ、がんではなくてもなんらかの変化が前立腺におこっている可能性は高いわけですから、泌尿器科専門医の受診は必要だと思われます。

PSAが高いときにはどうしたらよいのですか?

PSAの基準値としては一般的に4.0 ng/mlという値が用いられています。これ以上の値では精密検査が必要となります。軽度上昇している4-10ng/mlの間はグレーゾーンと呼ばれる値でです。この範囲の値では4人に1人に前立腺癌が見つかります。10ng/ml以上になると2人に1人に見つかります。さらに高値になればなるほど前立腺癌の割合は高くなります 。

「PSAが高い」といわれたらぜひ泌尿器科専門医を受診いただきたいと思います。泌尿器科専門医では、前立腺癌や前立腺肥大症の有無などをチェックするために前立腺精密検査が行われます。この精密検査は通常、外来通院で可能ですが、医療機関によっては1-2泊の入院で行っているところもあります。詳しくは泌尿器科のある最寄りの病院に相談されると良いでしょう。

前立腺精密検査で「異常なし」といわれたらもう大丈夫?

前立腺の精密検査で「癌はありません」といわれたら、とりあえず一安心です。しかし、小さな癌では一度の検査ですべて発見できるわけではありません。PSAが引き続き高く、特に次第に上昇してくるような場合には再度の精密検査が必要になります。ですから「異常なし」と言われた場合でも、年に1-2回のPSAチェックをお勧めします。


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