東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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代表的疾患:間質性膀胱炎

間質性膀胱炎とは

間質性膀胱炎とは、頻尿があり、多くの場合下腹部や会陰部の痛みを伴う病気です。急性膀胱炎に似た症状を示す場合抗菌薬などが処方されたり、過活動膀胱と似た症状の場合には頻尿改善薬などが処方されたりしますが、それでも直らない場合にはこの病気を疑う必要があります。痛みがこの疾患の特徴と言われていますが、必ずしも痛みが伴わない場合も多く、他の病気と症状が似ていることから診断が難しいことがよくあります。アメリカでは患者数は70万人にものぼると言われ、珍しい病気ではないといわれています。

日本では少ないといわれていましたが、実はもっと多くの患者さんがいるのではないかということが言われ始めています。

診断・検査

なんらかの症状がある場合、膀胱炎やそのほかの頻尿を起こすような病気がないことを確認します。症状については間質性膀胱炎症状スコア、問題スコアなどで重症度を判定します。

間質性膀胱炎の疑いが強いと考えられた場合は、以下のような検査を行います。

  1. 麻酔下膀胱鏡・水圧拡張術(hydrodistention)
    麻酔下に膀胱内に生理的食塩水を注入し、膀胱を拡張します。麻酔下に行なわないと痛みなどで十分膀胱が拡がらないため、所見が見逃されることがあるからです。このとき膀胱鏡で膀胱内を観察すると特徴的な所見がみられます。
    1. glomerulation(五月雨様出血)
      膀胱の拡張後、収縮時に細かい出血が膀胱全体からおこります。
    2. Hunner潰瘍(膀胱粘膜の亀裂)
      全例に見られるわけではありません。
      また、この検査は間質性膀胱炎であった場合には治療としても有効で、この治療により症状が軽減する方が多いようです。
  2. その他
    尿流動態検査、カリウムテストなど。

治療法

治療法は、診断時に行った麻酔下膀胱鏡・水圧拡張術で症状が改善することがよくあります。また、内服薬の治療、膀胱内 への薬物注入療法等もあります。

  1. 水圧拡張術
    麻酔下に行ない、診断と治療を兼ねる。膀胱粘膜の機械的拡張のため2~3週間は症状悪化することがある。
  2. 内服薬
    1. 三環系抗うつ薬:アミトリプチリン(トリプタノール)抗コリン作用、神経伝達ブロック等の作用
    2. 抗ヒスタミン剤:ハイドロキシジン(アタラックス)肥満細胞からのヒスタミン遊離に対する作用といわれる。
    3. ステロイド剤 投与法は様々で決まったものがない。有効性については証明されていない。
    4. トシル酸スプラタスト(アイ・ピー・ディー)抗アレルギー剤。有効であったとの報告がある
    5. その他 Ca拮抗剤、pentosan polysulfate(PPS)、鎮痛剤等
  3. 電気刺激療法
    主に疼痛に対する治療である。今後期待される治療法である。
  4. 膀胱注入療法
    dimethyl sufoxide(DMSO)、ヘパリン、BCG、L-アルギニンなど
  5. 外科的治療
    症状の改善する場合もあるが、膀胱全摘後も症状が残ることがあったとの報告もある。
    1. 内視鏡による潰瘍部位の切除
    2. 膀胱拡大術
    3. 膀胱全摘出術+尿路変向術

原因

はっきりとした原因は残念ながら不明です。膀胱粘膜上皮の異常説、アレルギーの関与、感染、神経異常、尿中毒性物質などが原因として考えられており、研究途上にあります。


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