東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

東北大学病院 泌尿器科 前立腺 尿失禁 人工尿道括約筋 人工括約筋

Home          代表的疾患         結石

代表的疾患:結石

尿路結石とは?

尿の通り道(腎~尿管~膀胱~尿道)にできる石を総称し尿路結石といいます。

尿路結石ははじめは腎臓で作られます。そして腎臓でできた結石が、尿の流れとともに移動して詰まった場所によって、それぞれ結石の呼び方も変わります(腎結石、尿管結石など)。 この石が尿路をふさいで激しい痛みの原因になったり、感染から発熱の原因になったり、腎臓の機能を悪くしたりします。

尿路結石はなぜできるのか?

これは、結石の患者さんによく聞かれる質問ですが、医学の発達した現在でも、結石発生の原因は実に複雑で十分に解明されていません。現在、尿路結石の原因として、以下のようなものが考えられています。

  1. 尿中物質の過剰:カルシウム、シュウ酸、尿酸など。
  2. 結晶化の促進:結石を抑制する物質(マグネシウム、クエン酸)の減少など。
  3. 腎、尿路の病気:感染、奇形、尿の停滞など。
  4. ライフスタイル:食事、水分摂取。
  5. その他:遺伝、気候、年齢、性別、人種など。

以上のように尿路結石の原因は多くの因子が複雑に関与していると考えられています。

尿路結石の原因疾患としては、例えば痛風(尿酸結石の原因となります)、副甲状腺の病気、尿路の奇形、ある種の薬剤(副腎ステロイドの長期連用など)があります。しかし、尿路結石症全体の80%以上は原因不明と言われています。

尿路結石の種類

一口に尿路結石といっても、その石がどんな成分でできているかによって、いくつかの種類に分けられます。シュウ酸カルシウム結石、リン酸カルシウム結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、尿酸結石などが、代表的なものです。中でもはじめの2つのいわゆるカルシウム含有結石が圧倒的に多く、80%以上を占めます。

尿路結石の治療

小さな結石(主に尿管結石)では、水分摂取と適度の運動、それに排石を促す薬により、結石を体外へ自然に排石させます。しかし、自然排石が難しい石の場合は、下に挙げたような方法で石を取り除いたり破砕したりします。

  1. 体外衝撃波結石破砕術(ESWL) 現在、尿路結石に対し最もポピュラーに行われている方法で、身体の外で発生させた衝撃波を、体内の石に収束させ、これを何百回、何千回と繰り返すことにより、結石を細かく砕く方法です。この方法の最も大きな利点は、身体に傷をつけることなく、また、麻酔なしで安全に行える点です。
  2. 内視鏡手術:皮膚に穴をあけて、そこから腎臓に直接内視鏡を入れて結石を取り除く方法と、尿道口から内視鏡を入れて尿管や膀胱の結石を取り除く方法があります。また、腹腔鏡を用いた尿管切石術も最近行われるようになってきました。
  3. 切石術:昔から行われている開腹手術のことで、現在この方法を必要とする場合は非常に稀です。

上に挙げた治療法は、それぞれ長所、短所があり、結石の大きさや場所によっても向き不向きがあります。最終的には医師とよく相談した上で決めるとよいでしょう。

ところで、尿路結石を溶かしてしまうような薬はないのでしょうか。実はごく一部の特殊な結石では溶解療法も可能なのですが、尿路結石の大半を占めるカルシウム含有結石ではお薬で石を溶かすことは今のところ望めません。また、溶解療法が有効な結石でも、溶けるまでには、かなりの時間を要しますので、激しい痛みを繰り返すような場合や、腎機能が悪くなる恐れのある場合には、実際は現実的ではないこともあります。一般的には、排石が期待できる小さな結石の場合、痛みを抑えながら結石を自排しやすくするお薬を飲んで頂くことになります。

結石の再発予防

尿路結石は再発が多いことで知られています。再発率は5年間で20%とも40%とも言われています。結石の治療を終えたあとも再発の予防策を立てなければなりません。

尿路結石の再発予防として大切なのは、飲水と食事です。

  1. 水分摂取について
    水分摂取の目安として、食事以外に1日2000ml以上の水分摂取が望ましいとされています。補給源としては水やお茶が適しています。
    ジュース、清涼飲料水、スポーツドリンク、コーヒー、紅茶、アルコールなどは尿中に結石を作りやすくする物質(カルシウム、シュウ酸、尿酸など)を多く排泄させるため、避けたほうがよいでしょう。また、水分は一日のなかで偏りなく摂ることが理想です。
    特に夕食後から夜間、睡眠中は水分の補給が少なくなるため、結石ができやすくなる時間です、就眠前に意識して水分を摂るなどの工夫が必要です。
  2. 食事について
    偏食、過食をなくし、規則正しく、バランスの取れた食事をすることです。具体的には以下のようなことに注意します。
    1. 動物性たんぱく質をとりすぎない
    2. 一定量のカルシウムを摂る(1日600~800mg)
    3. シュウ酸をとりすぎない(ほうれん草、たけのこ、チョコレート、紅茶など)
    4. 塩分をとりすぎない(1日10g以下)
    5. 糖分、脂肪をとりすぎない

また、食生活の面では朝、昼食中心の食事とし、夕食過食をひかえる。また、遅い夕食をできるだけ避け、夕食から就眠までの間隔をできるだけあける(その間に水分もとる)ようにします。とは言うものの食事習慣、味覚の嗜好は個人差が大きく、また、食事を作る方の協力も必要になります。また、仕事などの都合で規則的な食事はなかなか難しいのも事実です。
まずはペットボトルに水道水を入れ、仕事中も携帯し、小まめに水分をとるなどの簡単な予防法から実行してみるのも良いでしょう。


TOP