東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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代表的疾患:原発性アルドステロン症

原発性アルドステロン症とは?

腎臓の上部に乗っかるような形で、副腎という小さな臓器が左右一個ずつあります。副腎は様々なホルモンを分泌する重要な臓器です。このうち、アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されるのが原発性アルドステロン症(PA)です。PAでは、比較的若年で高血圧を発症し、脳出血などの重い合併症を起こすことが少なくありません。

どのくらい患者さんがいるの?

日本には本態性高血圧患者が約3,500万人存在するといわれている。その5-10%は、実際には原発性アルドステロン症(PA)による2次性高血圧であるとの報告がなされています。つまり本邦では少なくとも100万人以上のPA患者の存在が推測されています。

診断法は?

重症の高血圧、若年者の高血圧、降圧剤によるコントロール不良、低カリウム血症、などで本症が疑われます。スクリーニング血液検査でアルドステロン値などの異常があれば、CTなどの画像診断が必要です。典型的な症例では、副腎に直径1-2cmの腫瘍が見つかります。副腎腫瘍が見つからない場合や腫瘍と反対側あるいは両側から分泌される場合もあります。正確な診断には、高性能CTによる副腎検索と、副腎静脈サンプリングというカテーテル検査をおこないます。左右副腎から分泌されるアルドステロン量を直接測定して、過剰分泌側を決定します。

アルドステロン産生微小腺腫の存在

最近、PAにはCT陰性の、“アルドステロン産生微小腺腫”が多数存在することが分かってきました。これは直径数mm程度の小さな腫瘍で、副腎静脈サンプリングというカテーテル検査でしか診断できません。PAによる高血圧はアルドステロン産生腺腫の大きさとは関係ないため、このような微少腺腫でも重症な高血圧を引き起こしてしまいます。

低侵襲手術で治療

アルドステロン産生腫瘍の診断が確定すれば、泌尿器科で腹腔鏡下副腎摘除術にて治療します。腹腔鏡下副腎手術は、腹部の3-4カ所の小さな穴からおこなわれ、通常翌日から食事や歩行が可能になります。副腎静脈サンプリングの結果、両側の腫瘍と診断された場合は、患者さんの負担を減らすため一期的に両側同時手術をおこなっています。ほとんどの患者さんで、術後に血圧の正常化または降圧剤の減量が可能になります。

東北大学における副腎手術件数はは全国最多であり、2008年には年間100件を超えています。その70~80%がPAに対する手術です。手術は、豊富な経験を持つ泌尿器腹腔鏡技術認定医の指導の下におこなわれています。

東北大学における副腎疾患の診療拠点形成

PAの診断治療には、内分泌内科(スクリーニング・診断)、放射線科(画像診断、副腎静脈サンプリング)、泌尿器科(腹腔鏡下副腎手術)、病理部(最終的な組織診断)の4部署の密接な連携が必要です。微少腺腫の診断治療にはこの連携が特に重要になります。東北大学における副腎疾患の診療・研究の歴史は古く、昭和31年にPAの本邦第一例が報告されています。現在では全国に先駆けて、PAを含めた副腎疾患の一大診療拠点が形成されています。

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