東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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代表的疾患:男性性機能障害ED

EDとは?

男性の勃起能に問題がある状態は以前はインポテンスと呼ばれていました。しかし、最近ではED (Erectile Dysfuncion)=勃起障害という呼び名が一般的です。日本性機能学会では「性交時に有効な勃起が得られないために満足な性交が行えない状態で、通常性交のチャンスの75%以上で性交ができない状態」をEDとしています。加齢に伴い増加することがわかっており、日本におけるEDの患者さんの数は約1000万人いるといわれております。一方、70歳代の男性でも半数以上が性生活で現役である、という調査結果もあります。したがってEDは高齢者社会の「生活の質」を考える上で大きな問題の一つです。

EDの原因

EDの原因は多岐にわたります。大きく分けて「機能性ED」と「器質性ED」があります。心理的な問題や精神的な問題が原因となる「機能性」のものと陰茎海綿体やそれにかかわる血管、神経、内分泌環境などに異常のある「器質性」があります。

機能性ED
不安、緊張過多、ストレス、人間関係などの心理的な問題や、そううつ病。神経症など精神的な問題が原因で起こります。新婚EDなどの多くは機能性EDです。

器質性ED
血管、神経、内分泌環境などに原因するEDです。喫煙や糖尿病、心不全、高血圧、動脈硬化などがEDの発生に深く関連します。直腸癌や前立腺癌の手術によっても高率にEDが起こります。その他ある種の抗圧剤、消化性潰瘍治療剤、向精神薬などの薬物が原因で起こることもあります。

EDの診断

問診が最も重要で、身体所見と、ホルモン検査、などもあわせて行います。機能性EDが疑われる場合は、精神科や心療内科の診察をお願いすることもあります。
問診では通常、国際勃起能スコアIIEF5が用いいられます。

IIEF5(最低1点から最高30点)で21点以下であればEDを疑います。

有効性の高い経口薬(バイアグラ)が発売されてからは、すぐに治療開始となる場合がほとんどです。さらに詳しい検査を行う場合もありますが、バイアグラ無効の場合にはさらに詳しい検査を行う場合があります。

EDの治療

第1選択の治療法は現在、PDE5阻害剤と呼ばれる内服薬です。有効率は、機能性、器質性の原因を問わず、70-80%と非常に高いものです。ただし、基礎疾患の重症度によって有効率が異なる場合があります。日本ではバイアグラ、レビトラ、シアリスの3種類が販売されています。それぞれ、内服の仕方、効果発現時間、などに特徴があります。病院や薬局で相談されると良いでしょう。保険適応外ですので実費を払わなければ成りません。バイアグラなどの偽造品が出回っています。これらは安全性に問題があるものが多く、インターネットなどでの購入では注意が必要です。最初は病院やクリニックなどで処方してもらうのが最も安全です。

ED治療薬(PDE5阻害剤)の安全性

PDE5阻害剤は、ほとんど患者さんが安心して内服できる極めて安全性の高い薬剤です。しかし、硝酸剤(狭心症の薬)との併用で、最大50mmHgの血圧低下が起こるといわれているため、硝酸剤の内服をされている方だけは絶対に内服できません。

前立腺癌術後EDに対するED治療薬(PDE5阻害剤)の効果

前立腺全摘術後には高率にEDが発生して患者さんの悩みになります。そのため当科では陰茎海綿体(勃起)神経温存の手術を積極的に行っています。神経温存術式がなされている場合は、バイアグラなどPDE5阻害剤が術後の勃起力回復に高い効果をもたらします。

ED治療薬(PDE5阻害剤)内服の仕方

バイアグラは日本では50mgまでの内服しか認められていません。内服の仕方を誤って効果の出ない方がおられます。満腹時は吸収が悪くなるので空腹時に内服します。お酒はそれ自体が勃起障害を引き起こしますので過度の飲酒はバイアグラの効果を低くします。レビトラは食事とは関係なく内服できます。シアリスは内服後3日間有効性が維持されます。いずれも、性的刺激をうけないと効果が現れない、というユニークなお薬です。内服の仕方をきちんと教えるだけで有効率が更に高くなるというデータもあるほどです。

ED治療薬(PDE5阻害剤)が無効の場合は、更に詳しい検査をして治療法が決められます。


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