東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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代表的疾患:男性更年期障害

更年期障害は男性にもあります

最近、

「性欲や勃起能などが衰えた」
「体がだるい、やる気が出ない」
「ほてりやひどい発汗がある」
「記憶力が落ちてきた」

などと感じている男性はおられませんか?実はこれらの症状の中には男性更年期障害によって起こるものが多く含まれています。

性ホルモンは男性においても女性においても正常人では加齢によって低下します。女性では閉経後に女性ホルモンが急激に低下します。それが症状となって現れ、中年期以降の女性の多くが更年期障害として苦しむことになります。高齢化社会が進む中、最近になって男性でも更年期障害が起こることがわかってきました。男性ホルモンは男性における「男性らしさ」を作ると言われる男性ホルモンですが、加齢によって低下することがわかっております。しかし女性と異なる点は1)徐々に低下する、2)個人差が大きい、ということです。ですから下記のような症状のある患者さんは一度、男性ホルモンの値を測ってみることをお勧めいたします。

男性更年期の症状

1) 性欲、勃起能などの性機能
2)体がだるい、やる気が出ないなどの精神症状
6)ほてり、発汗などの身体症状
4)記憶力低下

などです。

もちろん、加齢に伴い男性ホルモンの影響以外でも様々な疾患が増えますので、全てが男性ホルモンのせいとは限りません。これらの症状があるような場合にはまず、外来でホルモンの検査を受けてみることをお勧めします。
男性更年期障害を診断する簡単な質問票ができています。これを使って自己チェックしてみましょう。

ADAM 質問票(Morley)

以上の質問で1と7で「はい」と答えられた方は全て、それ以外の項目で3つ以上「はい」と答えられた方は男性ホルモンが下がっている可能性が高いとされていますが、実際、この質問紙で男性ホルモン低下が疑われた患者さんのうち男性ホルモンが低い患者さんが見つかる率は30-40%です。

 最近は下記の質問紙も併用さるます。これもあわせて自己チェックしてみましょう。

 Aging Male’s symptoms (AMS) 質問票

症状の評価は合計点で、17-26点が「なし」、27-36点が「軽度」、37-49点が「中等度」、50点以上が「重症」となります。中等度以上に当てはまる方は一度、ホルモン検査を受けられることをお勧めいたします。

男性更年期障害の診断

以上のような症状で受診された場合、問診(家族歴、既往歴(高血圧、高脂血症、糖尿病などの有無も聴取いたします。)現病歴(排尿状態、早朝勃起、性交の状態も含む)また、上記質問紙をを事前に患者さんに記入してもらいます。

身体所見(特に直腸指診で前立腺の状態-硬結の有無、肥大の有無)をチェックします。
採血項目は男性ホルモン、PSA(前立腺癌の可能性を見る検査です)、一般採血です

男性更年期の治療

以上の検査を行い、男性ホルモンが年齢基準値より低下している場合にホルモン補充療法を行いますが、PSAが高い、直腸診異常などの前立腺癌が疑われる患者さん、多血(血が多い)患者さん、重度の肝機能障害などではホルモン補充療法の適応から除外されます。

男性ホルモンの補充を行ううえで注意しなくてはならないのが、前立腺癌の可能性がある患者さんには行えないということです。また、ホルモン補充療法を行うと赤血球が増えます。加齢とともに貧血となる患者さんが多いのでこれらが改善するのですが、もともと貧血がない方は血が増えすぎて瀉血(血を抜くこと)することもあります。

お薬は現在、日本で安全に、また、効果的に使用できるのは注射剤(2週間?1ヶ月に一回)です。海外では、内服のお薬や、貼り薬や、塗り薬が発売になっております。今後、日本でもこれらのお薬が使用可能になることが望まれます。


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