東北大学病院 泌尿器科 外科病態学講座泌尿器科学分野

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代表的疾患:男性不妊症

不妊症について

不妊症のうち、男女双方に原因があるものが25%、男性に原因があるもの、女性側に原因があるものは、それぞれ25%、40%と言われています。妊娠の成立と同様に不妊治療には夫婦間の協力が不可欠であり、夫婦そろっての受診、検査が必要です。

男性不妊症について

男性側の不妊症の原因としては、精子がいない、精子の数が少ない、運動性が悪い等の精液所見の異常、性行為の障害などがあげられます。精液所見の異常の原因としては内分泌学的な異常(ホルモンの異常)、精路(精子の通路)の通過障害、精索静脈瘤などがあり、原因によっては治療により精液所見が改善し、自然妊娠が可能となる場合があります。特に精路通過障害、精索静脈瘤は手術による改善が期待できます。原因を正確に突き止めることが治療の第一歩ですので、まず、泌尿器科の門を叩いてみてください。

東北大学では産婦人科と協力の上、患者さんご夫婦の状態にあわせた治療を行っていきたいと考えております。

無精子症

精液中に精子を認めない状態を無精子症といい、精巣が精子を作れない場合(機能性・非閉塞性無精子症)と、精巣で精子は作られるが精路に通過障害があり精液中に精子がでない場合(閉塞性無精子症)に分けられます。いずれも治療しない状態での自然妊娠は不可能です。

非閉塞性無精子症

(原因)
染色体異常、下垂体、視床下部の障害による性腺刺激ホルモンの低下、薬剤  (抗癌剤など)、おたふくかぜによる精巣の機能障害があげられます。その他原因が不明なものも存在します。

(治療)
ホルモンの低下による場合は薬物療法(ホルモン補充等)により精子の形成が認められるようになります。その他の原因によるものの場合、精液中に精子が認められなくても、精巣の一部で精子が作られている場合があります。
この場合は、顕微鏡手術で精巣内の精子を採取して体外受精、顕微受精を行うことが可能です。

閉塞性無精子症

(原因)
両側精巣上体炎、両側鼠径ヘルニア術後、精管切断術後、Young症候群、射精管閉塞症、先天性両側精管欠損症などがあげられ、また原因不明のものも存在します。

(治療)
通過障害を解除する精路再建術を行い、自然妊娠が可能な状態とするか、あるいは顕微鏡手術下に精巣から精子を採取し、顕微受精を行う方法が考えられます。
東北大学では、精管精管吻合、精管精巣上体管吻合等の精路再建術、産婦人科と協力の上で,精巣内精子採取(TESE)精巣上体内精子吸引術(MESA)を行っています。

精索静脈瘤

腎静脈から内精索静脈へ血液が逆流することにより陰嚢上部での蔓状静脈叢が怒張、鬱血している状態です。男性不妊患者の約20~40%に認められ(健康な青年男性では約10%)、精巣容積の減少、精液所見の悪化と関連があると考えられています。

精索静脈瘤のgrade分類

grade1:立位腹圧負荷ではじめて静脈の怒張を触知
grade2:立位で容易に静脈の怒張を触知
grade3:陰嚢皮膚ごしに静脈瘤がみえる

治療

精液所見が不良な場合、陰嚢部の痛み等の症状がある場合、治療の対象となります。現在、より患者さんの負担の少ない治療法として、顕微鏡下低位結紮術、経皮的塞栓術、腹腔鏡下手術などが行われています。

東北大学では顕微鏡下に動脈とリンパ管を温存し、静脈を結紮切断する低位結紮術を行っています。一般的には手術により、約60~70%の患者さんで精液所見の改善を、約60~70%の患者さんで妊娠が得られると言われています。


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